古墳に入りたい

就活日記

卵酒

体調を崩した

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一人暮らしで熱を出すと辛い

  

見る夢は、走馬灯

 

このまま誰にも知られずひっそりと死んでしまうのかな

 

咳をしても、独り

ただ、春の夜の夢の如し

 

 

だから

 

卵酒を作った

フライパンにお湯をはって、鍋を浮かべて

日本酒を注ぐ

高いお酒が燗されて、アルコールが空気の中にふわりと広がる

その横で卵を割って、ボウルでかき混ぜる

シャカシャカ

ザッと、砂糖少々

泡泡に

いい感じ、まるでpâtissier

空気を含んだ卵は、黄色い石鹸みたい

マグカップに工程①を流しこむ

そのまま飲んでも良さそうだ

日本酒も、沸騰寸前

 

よし、

一息置いて、日本酒を少しだけ卵に注ぐ

と同時に、スプーンで急いで混ぜる

カツンカツン、

よしっ、

お酒に卵を入れる作り方もあるらしいけれど、卵にお酒を入れた方が失敗しないらしい

 

そう、失敗

卵酒には失敗がある

卵が固まるのはたぶん60℃

一方、お酒はどんどん蒸発する

熱々にすれば卵は固まるし

手加減するとぬるくて不味い

だから、熱い酒を少しずつ、卵が固まらぬように混ぜ込まねばならない

 

その手間が愛おしい

昔から日本では風邪のひきはじめに卵酒を作ったという

そんなこととは知らず僕は、夜は短し歩けよ乙女を見て、卵酒を作った

乙女の卵酒はとても美味そうだった

暖かそうだった

 

いざ、

一口飲むと少しぬるすぎたようだ

卵の冷たさに負けてしまっている

一度混ぜたものをまた湯煎すればとろみがでるというので試す

綺麗な黄色の液体を鍋の中でぐるぐるしながら、なんだかボンヤリしてしまった

 

あっ!

鍋の端で卵が固まりだしている

いかんいかんと急いでかき混ぜるが、玉子は元には戻らない

仕方なく、日本酒入りの玉子スープのようなそれをちびちび飲んだ

 

これは、薬だから

ぐびぐび飲める代物じゃない

 混ぜながら、少しずつ

冷ましながら、大切に

 

卵と酒はどうして出逢ったんだろうか

ぐるぐる

ちょびちょび

悪くない悪くない

 

大切な人につくってあげよう

卵酒

 

そう呟いて、飲みきれない分をシンクに流した

残された卵の鮮やかな黄色がぼやけて見えた

 

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 今日面接を2つこなした

「本当はもっと麗しい声なんです!」

自虐しながら、笑いをとる

出来は上々、後は祈るのみ

 

心に身体がついていかない

いや、心も走っていかない

でも休めないのだから

ウイダー龍角散のど飴片手に頑張った

 

もし、卵酒を飲んでいなかったら

倒れていたのかもしれない

だから、一羽の命は僕の一日になったのだ

 

 

そして今日も卵酒をつくった

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昨日よりは上手くできた

日本酒と卵の風味が溶け合う

人肌の温かさ

 

またつくろう

いつかつくろう

 

あたたかい卵酒